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5巻
大奥 ・ 2009-09-29
大奥 5巻
あらすじ
絢爛豪華な大奥の頂点に、京の貴族・右衛門佐が君臨する。五代将軍・綱吉の血筋を存続させるという悲願のため、彼は己の野心と虚無を天秤にかけ、女将軍の懐深くへと潜り込んだ。華やかな寵愛の影で渦巻く権力闘争、そして世継ぎを巡る生々しい駆け引き。有功というかつての記憶を纏った聖域で、右衛門佐は冷徹な眼差しで江戸城の黄昏を見つめる。これは、愛と権力が不可分に絡み合う、美しくも残酷な権謀術数の記録である。 2009年9月刊。
ネタバレ
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右衛門佐の参内は、大奥に淀んでいた空気を一変させた。綱吉の気まぐれな寵愛を巧みに操りながら、彼は総取締の権限を掌握し、かつて有功が築いた大奥の秩序を自身の論理で書き換えていく。しかし綱吉の孤独は深く、男子の誕生を拒むような悲劇が連続する。館林から呼び寄せられた鶴姫の急死という絶望の淵で、綱吉は己の無力さと向き合わされる。右衛門佐はそんな彼女を冷ややかに見下ろす一方で、自身の過去に秘められた京都での屈辱を反芻していた。単なる権力争いではない。ここは、血のつながりを絶やさないためだけに人生を捧げた、魂の置き場所を見失った者たちの牢獄だ。右衛門佐が最後に目指したのは、将軍を慰めることではなく、この腐敗した大奥というシステムそのものを自分の手で終焉させることだったのかもしれない。彼が命を賭して綱吉に突きつけたのは、愛の告白ではなく、政治家としての峻烈な断罪であった。