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9巻
かげきしょうじょ!! ・ 2020-03-05
かげきしょうじょ!! 9巻
あらすじ
紅華歌劇音楽学校は、新たな春を迎え更なる混沌の渦中へ。さらさと愛が出迎える新入生は、かつてない強烈な個性と野心を秘めた百期生たちだ。憧れの舞台を目指す執念と、己の才を信じる傲慢さがぶつかり合い、予科の教室は連日熱を帯びる。夢の階段を駆け上がる彼女たちの心に、新たな葛藤の芽が吹き出す。技量、出自、そして何より己自身の正体と向き合う過酷な季節。少女たちの研鑽が、紅華の歴史を塗り替える一歩となる。
ネタバレ
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第9巻では、聖たちの卒業という喪失感を乗り越え、さらさが遂に本科生としての重圧を背負い立つ姿が鮮烈に描かれる。注目すべきは、今回から物語に深く関わる百期生たちの存在だ。特に、かつてのトップスタァへの憧憬を異常なまでに拗らせた新人や、冷徹なまでに合理主義を貫く実力主義者の出現が、従来の「華やかな紅華」というイメージを根底から突き崩す。さらさは、自身の「オスカル様への情熱」という純粋な燃料が、時に周囲を焦がし、時に自身の首を絞める諸刃の剣であると自覚せざるを得なくなる。授業では、かつての憧れであった先輩たちが遺した「男役としての矜持」を解釈し直し、自分だけの型を創出するために血反吐を吐くような特訓を繰り返す。一方、愛は自身の出自という呪縛から解き放たれ、よりフラットに歌劇というエンターテインメントの真髄へ手を伸ばす。彼女たちが直面するのは、技術の向上という単純な課題ではない。自分の中に潜む歪な欲望を、観客を魅了する美しい「役」へと昇華させるという、魔法のような、しかし呪いのような試練である。教室での厳しい指導や、先輩たちの背中を追い続けた日々が走馬灯のように駆け巡り、今、彼女たちは「何者でもない自分」を殺し、「舞台の上の誰か」として転生するための産みの苦しみを味わっているのだ。さらさが選んだ覚悟の一歩が、紅華という閉鎖的な箱庭を確実に変えていく様は圧巻である。